複線図は第二種電気工事士の筆記試験・技能試験の両方で問題に関わる技術です。
複線図をマスターしなければ試験に合格できないと言い切っても良いくらい重要です。
この記事はこんな方にオススメ
- 筆記試験の勉強中だけど複線図がわからない。
- 基本はわかったけど問題になると解き方がわからない。
- 図面の読み方が分からない
複線図の基本を確認した上で、この記事を読むとより理解が進みます。
今回は筆記試験で出題される複線図問題の解き方を、過去問を使い解説しています。
複線図は得意・不得意が分かれるので、得意でない人はこの記事を読んでマスターし、実際の試験に望んでください。
筆記試験では捨ててしまっても大丈夫だよね?
合格点超えていれば筆記試験は合格できるけど、技能試験では必ず使うよ。
今のうちにマスターしておいた方が良いスキルだね。
筆記試験でも図面問題で複線図が必要
第二種電気工事士の筆記試験では後半の図面問題で複線図が出題されます。問題用紙に平面図(単線図)があり、単線図で電気配線が書いてあります。
図面問題は筆記試験の中で20問出題されますが、複線図が関わる問題は
- 指定された箇所の電線の本数や種類の問題
- 接続に必要なスリーブやコネクタの種類・数の問題
が出題されます。
電線やコネクタの数を洗い出すには、必要な電線の数と接続先情報を複線図にして確認・回答しなければいけません。
- 電線の数を洗い出す。
- 電線の太さの種類を洗い出す。
- 負荷側へ何本送り出すのか洗い出す。
単線図を複線図にしなければ情報を洗い出せないので、筆記試験でも複線図は理解しなければいけなせん。
筆記試験で複線図を理解しておけば実技試験でも役に立つから、マスターしよう。
例題:2019年度下期筆記試験より
実際に出題された試験問題では複線図に関わる問題が4問出題されています。
引用:2019年度下期第二種電気工事士筆記試験問題|電気技術者試験センター
問41、47、49の3問は複線図を描かなければ解答が導き出せません。3問正解すれば6点獲得できるので合格点の1/10の得点を稼げます。
技能試験でも複線図は使うので確実に得点できるようにしましょう。
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筆記試験に出る複線図の解き方
出題される複線図に関わる問題の解き方の順序は3つのステップです。
- 指定箇所に来ている電源の元を探す
- 指定箇所から末端の負荷の流れを洗い出す
- 関連範囲の複線図を描いて確認する
複線図を描く前に関連する箇所の電気の流れを確認しなければいけません。
解き方を実際に2019年下期に出題された問題を使って複線図を解説していきます。
出題された複線図の問題を使って解説
問49
⑲で示すボックス内の接続をすべて差込型コネクタとする場合、使用する差込型コネクタの種類と最少個数の組合せで、正しいものは。ただし、使用する電線はすべてVFF1.6とする
差込コネクタの種類(2本、4本、5本)と必要な数が問われています。
どの選択肢もコネクタの数が3個なので接続箇所は3箇所と問題から予測することもできます。この問題の場合、ケーブルの太さは統一なので、接続する本数だけがわかれば良いですね。
指定箇所に来ている電源の元を探す
平面図から指定箇所にどこから電源が来ているかを確認します。
2019年度下期の場合は平面図の下に分電盤結線図があり、分岐先に記載しているアルファベットが平面図の中の記号と対応しています。
引用:2019年度下期第二種電気工事士筆記試験問題|電気技術者試験センター
指定箇所⑲には(a)の分岐から接続していることがわかります。
電源は基本的にプラス(非接地)とマイナス(接地)の2本の線ですので、この場合も電線は2本と判断します。
3路スイッチが負荷側に合った場合(同じ記号のスイッチがある)には、複数線の場合があります。
指定箇所から末端の負荷の流れを洗い出す
指定箇所⑲には(a)からの電源のほかに
- 上に伸びる壁付きコンセントの線
- 左に引っ掛けシーリング(ル)の線
- 右に壁付きコンセントの線
- 下にスイッチ(ル)
- 下に隣の部屋へ繋がる線
の5本の線があります。
1と3の壁付きコンセントはそのまま電線を伸ばせば良いですし、壁付きコンセントの数は⑲の複線図には関係なので無視できます。
また、5の隣の部屋に繋がる電源も線をつなげるだけで良いので複雑ではありません。
スイッチ「ル」と引っ掛けシーリング「ル」が対応していますので、この接続さえ気をつければ⑲の複線図は作成できます。
⑲に関わるこの5本を複線図化します。
関連範囲の複線図を書いて確認する
電源の流れ、負荷の流れが確認できたら実際に複線図を描きます。書き方はスタンダードな方法ですので、場合によっては省略したり、自分流に変えて良いと思います。
ジョイントボックスを描く
破線でも良いですが自分がわかれば良いレベルであれば実線でも問題ありません。
大きめに丸を書きましょう。
電源と負荷を描く
問題の配置に合わせて電源・器具(コンセントやスイッチなど)を描き込みます。
ジョイントボックスへの接続や隣の部屋への接続は電線を表す黒丸・白丸を描いておきましょう。
黒丸・白丸については複線図の基本編で解説しているので確認してください。
電源・器具はなるべく問題の配置に合わせて描き込みます。
電源からボックスまでを描く(この問題の場合)
まずは電源からの線をジョイントボックスの中心に向けて描きます。
この問題の場合には線を繋ぐだけの電線も描いてしまった方が楽なので、コンセントへの接続と隣の部屋への接続を繋いでしまいましょう。
スイッチと非接地(黒丸)をつなぐ
スイッチは必ず黒丸からの線に繋ぎますので、「ル」のスイッチと接続します。
器具と設置(白丸)をつなぐ
電灯器具などはかならず白丸からの線に接続します。
スイッチの接続、電灯器具への接続を描く順番は逆でも問題ありません。
最後にスイッチと負荷をつなぐ
最後にスイッチと電灯器具を接続して「ル」のスイッチで「ル」のシーリングライトが繋がるように接続します。
複線図は完成したので確認と問題の解答を導き出します。
接続を確認する
電流の流れに問題はないかを確認しましょう。
- 黒丸からスイッチに繋がっているか
- 白丸から器具につながっているか
- 電源との接続できているか
黒丸からスイッチに繋がって、器具を経由して白丸に繋がれば問題ありません。他の電線やコンセントが黒丸・白丸に接続されていることを確認してください。
問題の解答を導き出す
問題が回答できる複線図になっているかを確認しましょう。
2019年上期筆記試験問題 問49の場合、3個の接続箇所で接続されているかが、問題から読み取れます。
複線図からは5本の接続が2箇所、2本の接続箇所が1箇所なので、問49は「ニ」が正解です。
もし、問題に合わせた解答が導き出せていなかった場合には複線図を書き直してください。
複線図の練習方法は繰り返し描く
複線図は見ているだけでは描けるようにはなりません。実際に接続を手で描いて練習する必要があります。
練習方法としては
- 複線図の基本を理解する
- 簡単な複線図を練習する
- 過去問の複線図を繰り返して解く
の三段階で集中的に練習することができます。
基本の書き方を使って過去問の複線図を何度も描くことで複線図の描き方が身につきます。
練習用テキストをつかうのも有効
複線図は受験される方の中でも、得意不得意が分かれる出題範囲です。不得意な場合には専用の参考書を使って練習する方法もあります。
過去問を繰り返して解く
過去問の解答だけをみても過程の複線図がわからないので、過去問を解説している動画もありますので、確認してみると良いと思います。
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練習用にホワイトボードを使う
手で描くので書き直しができる鉛筆やフリクションでも練習には問題ないのですが、何度も書き直しをして練習するので書き直しが楽なホワイトボードがおすすめです。
大きいものは必要ないので、手頃なサイズのものを100円ショップで買って使いましょう。
持ち運んだり他の用途でも使うのであればnu board(ヌーボード)が便利です。
iPadなどのタブレットを持っている方は、お絵かきできるアプリを使って練習しても良いですね。
この記事で描いた複線図はiPadで描いているよ。
筆記試験で複線図を解く場合の注意点
例題解説の中でも触れましたが、出題の中に答えに繋がる部分があります。問題をよく読み、解答が導き出せる複線図を描きましょう。
- 図面全体を見渡して電源がどこから来ているか確認する
- 問題から接続の数の情報を読み取る
- 省略できるところは描かない
また、メモ帳などは持ち込めないので、試験問題の余白を使って複線図を描いてください。
4 試験会場で使用できる用具
(1)筆記用具 ・HBの鉛筆又はHBの芯を用いたシャープペンシル、鉛筆削り ・プラスチック消しゴム ・定規 注意! ・マークシートへの記入には、HBの鉛筆又はシャープペンシルを使用してください。ボールペン等は使 用しないでください。
・複線図等を描く場合は、問題用紙の余白を使用してください。その際、色鉛筆、色ボールペン、蛍光ペン、 マジック等を使用することができます。
引用:第二種電気工事士 令和2年下期 筆記試験受験者 試験案内|電気技術者試験センター
筆記試験で複線図を解くためのまとめ
まず、複線図の書き方をマスターする
手順
あとは問題に沿って答えを導き出すだけです。何度も繰り返して技術を身に着けましょう。
もし筆記試験で複線図問題を捨てても、技能試験で必ず必要になるよ。
これから電気工事士として仕事をするならば現場でも必要ですし、接続ミスを発見するためにも複線図は必要です。
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