第二種電気工事士は一般家庭内の電気工事をするために必要な国家資格です。
試験は筆記試験(免除条件あり)と技能試験の二種類あり、合格すると電気工事資格が取得できます。
第二種電気工事士の筆記試験は試験会場で紙を配布して行う形式でしたが、将来的にCBT方式の試験を導入する準備が進められています。
既に第二種電気工事士の免許は持っていますが、電気工事士試験を実施している電気技術者試験センターからCBT筆記試験導入前のパイロットテスト(模擬試験)の募集があったので応募してみました。
この記事ではCBTパイロットテストを受けてみた感想や、今後変わるであろう筆記試験について独自の視点で分析してみたいと思います。
令和5年のCBT試験の内容が案内されたので、CBT試験のメリット・デメリットを分析しました。
自己紹介
2018年に独学で第二種電気工事士に挑戦して合格した経験から、第二種電気工事士を受験する方に役に立つ情報をブログ・Twitterで発信しているサラリーマンです。
今回受けたパイロットテストは実際の試験とは違う場合があります。実際にCBT方式で筆記試験を受験される方は試験案内などを確認して試験に望むようにしてください。
CBTとは
Computer Based Testing(コンピューター ベースド テスティング)の略でコンピューターを使って行う試験のことです。
すでに多くの試験などに導入されているので経験された方もいらっしゃるかもしれません。
自宅でパソコンを使って受験する場合と、試験を実施する施設に行って受験する場合がありますが、出題・回答・採点・合否通知がすべてコンピューターで行われる方式です。
今までの第二種電気工事士の筆記試験は4択でしたので、画面上で問題を見て4択の選択肢の中から回答をコンピューターの画面で入力する試験に変わるそうです。
CBT方式の最大の特徴だと感じているのは試験結果が即時表示され、合格・不合格がその場で分かる事です。
今回のパイロットテストでは試験直後に得点が画面に表示されました。後日マイページから回答等を確認する方式でしたが、今後のCBT筆記試験でどうなるかはわかりません。
受験される際は試験案内などの情報をよく確認してください。
パイロットテストの流れ
今回受験した第二種電気工事士のパイロットテストは、CBT方式を導入する前の導入テストで全国で1,000名募集されました。
電気技術者試験センターでは、災害や交通障害にも柔軟に対応でき、より適格な国家試験運営に資するためコンピュータネットワークを用いたCBT方式に向けたパイロットテスト(模擬試験)を実施します。
引用:令和3年度CBTによるパイロットテスト(模擬試験)の申込受付開始について | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
事前にCBTパイロットテストテストを実施するCBT-Solutions社のサイトに行ってユーザー登録(現在は申込終了)を行いました。
第二種電気工事士の申込みは令和3年からCBT-Solutions社のシステムを使っているようで試験申込方法に近い流れでした。
10/2に受けたパイロットテストの流れをまとめています。
試験会場入り
事前に予約した時間・会場にいきました。
ちなみに受験時には身分証明書のみ持参の指示があり、用具は「持参不要」と書いてありました。
受験に必要なもの
顔写真付き身分証明書用具等
持参不要。持参しても私物は試験室内に持ち込みできません>筆記用具・計算メモ用紙は、CBT会場で貸与し、受験後回収となります。
引用:令和3年度 第二種 電気工事士筆記試験 パイロットテストの申込要領 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
過去の経験をしっかり活かし、トイレは済ませておきました!
(本番の筆記試験で試験開始してしばらくしたらトイレに行ったのは私です)
私が受験した施設での流れなので、概ね流れは同じだとは思いますが、実際の試験の際には会場の指示に従ってください。
試験室入室
終日前に私物は全てロッカーに収納するよう指示があり、時計もに身にけないよう指示されました。身分証明書だけを持って入室するように言われたので自動車運転免許証を持って入りました。第二種電気工事士免状でも良かったかも。
第二種電気工事士 免状図鑑 47都道府県の免状一覧【更新中】
指示されたデスクに座り、配布された資料と机に用意された指示に従ってテストを開始します。
それとは別に、鉛筆とA4の紙が机の上に置かれています。計算問題や複線図を展開するときのメモとして使います。
CBTを受けたときの設備
設備は各施設によって違うと思いますので、私が受験した施設の情報です。参考程度にご確認ください。
塾の自習スペースのようにデスクが仕切りで区切られ、隣りからの目線は遮られた環境が用意されています。
パソコンは14インチモニターとやや古くて低スペックの本体が配置されていて、マウス・キーボードの他に他の試験で使うと思われるヘッドセット(ヘッドホンとマイクが一体化したやつ)が置かれてました。
もちろん第二種電気工事士試験にはヒアリングはありませんのでヘッドセットは使いません。
試験の時間
試験時間は2時間(120分)でしたが、早く終わっても問題ない感じでした。
実際、1時間経ったあたりで全問題を解き終わったので試験終了してみしたが特に何も警告や注意事項はありませんでした。
パイロットテストだから無かったのか、本番試験でも無いのかはわかりません。
CBT筆記試験の画面の操作方法
CBT筆記試験はすべてマウスで行いました。画面に表示された問題を4択の選択肢の中から選び画面上のボタンを押す操作です。
試験開始前に3分ほどの操作チュートリアルがありました。画面の操作についての説明を、実際に操作しながら練習します。
3分経っていなくても操作を理解できればチュートリアルを終了することが出来ました。
試験の操作画面のイメージは以下です。
(記憶ベースなので正確ではありません)
文章問題画面
文章問題は画面の左に問題文、右側に選択肢が並んでいます。筆記試験の問題をスキャンして画像で配置しているだけでした。
4択の入力ボタンをマウスでクリックして問題に回答します。
鑑別問題画面
写真を見て問題に回答する鑑別問題は写真が配置されます。写真を拡大して見たい場合には画面下部にある文字の拡大を使って画面の表示を大きく出来ます。
図解問題画面
図解問題は図面が左側に表示され、問題が右側に表示されます。
図面は拡大縮小することも出来ます。図面の幅も、図面と問題文の間の枠を左右のドラッグすることで変更出来るので拡大して読みやすくすることができました。
結果発表
得点は試験終了操作をした後、すぐに画面に表示されました。ただし、問題の解説はありませんでした。
結果がすぐわかることは、CBT試験の良いところですね。
アンケート
今回受けた第二種電気工事士のCBT筆記試験は運用前の模擬試験ですので、操作感などのアンケートがありました。
もちろん、本番試験ではアンケートはないと思います。
CBT試験を受けて感じた解き方のコツ
筆記試験は、「得意な問題から解く」のも得点を上げるコツと言われています。
第二種電気工事士の筆記試験は計算問題から始まりますが、計算問題は苦手な方が多く後回しにされることもあります。
CBT試験では画面操作で問題を移動できますが、毎回「次の問題へ」を押して移動していると時間をロスするので、画面左下の「解答状況」を活用しましょう。
「解答状況」を押すと、1〜50までの数字に回答したか・後で見直すにしたか・未回答かが一覧表示されます。
とりあえず試験問題の後半からスタートしたいなら。25の番号を押して一気に問題を飛ばして良いと思います。
記憶が残っているうちに解ける問題から手を付けるのもテクニック
第二種電気工事士 筆記試験がCBT方式になって変わると思われること
従来の筆記試験は問題用紙が配布され、マークシートに回答を記入し提出する試験方式です。
それをすべてコンピューターを使って行いますので、試験の内容で変わるものとその影響を考えてみました。
問題が配布されないので持って帰れない
試験問題はコンピューター上で表示されるので、紙で配布される試験問題は無いので問題を持って帰ることが出来ません。
筆記試験の答え合わせが出来ない
従来の紙の方式であれば、試験問題などに回答を書き込んで、解答速報や翌日に発表される正式解答で正誤を確認していました。
CBT方式では問題が持って帰れないので振り返ることができませんので答え合わせも出来ません。
今回のCBTテストでは試験終了後に得点が表示されました。後日、管理画面からの解答の確認ができるそうです。
(記事執筆視点では未確認)
答え合わせするのは、試験直後に合格だったかを自己判定するためなので、もし即時に得点がわかるのであれば答え合わせする必要もありません。
従来の方法を踏襲するとすれば試験日の翌日に問題と正式解答が発表されるかもしれません。
複数日程・より細かく複数の試験会場に分散される可能性
今回、第二種電気工事士の筆記試験のCBTシステムを提供しているCBT-Solutions社には全国に300箇所の提携テストセンターがあるそうです。
全国CBTテストセンター | 株式会社CBT-Solutions
従来の筆記試験会場は同一都道府県内で分かれることがあっても、1会場は大規模な施設・会場だったり、同一施設内の分散した部屋で実施されていました。
CBT筆記試験を実施できるテストセンターの許容量を考えると全国一気に同日実施も難しい可能性があると感じています。
令和2年から午前・午後に別れた筆記試験がさらに複数日の午前・午後に分かれてしまう可能性も大いにあると思いますし、会場を選択して予約する方式に変わるかもしれません。
実施日や受験方式は今後発表される試験案内などで確認をするようにしてください。
筆記試験の解答速報はなくなる
筆記試験当日、各企業や団体が問題を試験問題を入手して筆記試験の解答速報を出していました。
これがCBT方式になり問題用紙を入手することができなくなりますので、解答速報は出せなくなってしまいます。
解答速報も自己採点のために必要でしたので、自己採点の必要性がなくなるCBT方式では解答速報も意味を成さなくなってしまいますね。
後日問題と正解は発表されると思いますので、問題解説は後日出来ると思います。
第二種電気工事士試験をCBT化する理由
- 筆記試験の採点ミスを防ぐ
- 試験運営の手間を少なくする
- コロナの影響を考え過密状態を避けたい
などがあるのかな?と思います。
毎年何万人もが全国で受験する試験なので試験運営の費用削減もあるかとは思いますが、コロナの影響で受験者もそうですが運営側も過密を避ける必要がありましすね。
コロナの影響で試験が中止になったり、午前・午後に分かれるようになってしまったので、コンピューターを使ったCBT方式を導入するのは当然の流れかもしれません。
また、2019前にあった筆記試験の採点ミスのようなヒューマンエラーの防止も大いに期待されます。
コンピューターを使えばデータ処理で手間の削減や時間の短縮が出来るので、スムーズな処理をされ、合格発表が早くわかれば早く技能試験の準備ができるので、受験者にもメリットがありそうです。
実際のメリットは試験日程や受験方式などが電気技術者試験センターから発表されると明確になると思います。
あくまで筆記試験のみCBT化
技能試験は実際に工具と材料を使って回路を制作する試験すし、出来上がった回路が正確に処理されているかどうかの判定が必要なので、オンライン化は難しそうですね。
筆記試験CBT化のまとめ
工業系の学校で一気に受験する学生を引率していたりすると、受験会場の分散化がされたら引率が大変ですね。
CBT化するにあたり筆記試験の範囲や勉強方法は今までの試験と変わりませんので参考書ベースの勉強で問題ありません。
第二種電気工事士 CBTを受けてみた感想は、CBT方式の試験に慣れていることが必要かなと感じました。
紙でやる試験とは違い、コンピューターを使って画面で確認する感覚を持っているかどうかも試験の成績に影響しそうです。
紙で文字を読む場合とパソコンの画面で文字を読む場合では、パソコンのほうが文字を読み飛ばすことが個人的に多いと感じているので、読み間違いや認識違いをしないよう画面で文字を読むことに慣れていないと、思わぬところでミスをしてしまいそうです。
紙で実施される試験以上に、画面上ので試験では確認が必要ですのでCBT方式の試験に不安を感じる方は、無料で受けられる試験などで感覚を養っておくと良いでしょう。
コメント