複線図とは、電気機器の接続線を実際に使う電線の数で表した配線図法です。
第二種電気工事士の筆記試験でも技能試験でも必ず問題に関係する配線図方式です。
特に技能試験では単線図と呼ばれる単純化された配線図で問題が出題されます。単線図を複線図に変換して出題された問題の電気回路の制作をおこなうのが一般的です。
複線図って複雑そうでよく分からないんだよね〜。
勉強しているとつまづきやすいポイントです。
筆記試験でも技能試験でも出てくる合格には必要な技術なのでしっかり勉強しましょう。
最初は複雑に見える複線図ですが、基本を抑えて順番に対応すれば難しくないので確実に得点できるようになります。
実際に施工するときに配線を間違うと事故・災害につながってしまいます。
配線間違いを起こさないためにも複線図を理解しましょう。
- 複線図をこれから勉強する方
- 複線図がなかなか理解できない方
この記事では独学で一発合格した私が、独自のノウハウをもとに複線図の書き方を解説していきます。
何度も描いて練習すれば電気配線の接続が理解できるようになるので、より早く図面から情報を読み取れるようになります。
筆記試験の図面問題では複線図が出題されるので、攻略法として実際の試験問題を使った解説をしています。
複線図とは
電気配線を実際の電線の接続関係と電線の本数で表した図形です。
筆記試験では単線図で問題が出題され複線図に描き直して回答する図面問題があり、技能試験では単線図で問題が出題されます。
試験に合格するための書き方に厳密なルールはありません。分かればいい程度ですが、理解していないと試験問題を解くことができません。
単線図とは
単線図は図面上で電気の経路を一本の線で表して簡略化して表した配線図です。ジョイントボックス、スイッチ、コンセント、電灯などの接続関係を分かりやすく表示したものです。
器具と電線の接続が分かるシンプルな作りになっています。
単線図・複線図用の記号の例
筆記試験でも技能試験でも複線図を提出して評価される事はありません。
上記の様にキレイに複線図を書く必要はなく、自分がわかる程度の複線図を書けばOKです。
複線図の基本の考え方
まずは基本となる配線の地図の書き方です。基本の3段階を使えば全ての複線図は描けます。
- スイッチを黒(非接地側)に繋ぐ理由は感電を防ぐためです。
- 照明器具を接地側に繋いで電気の帰り道を通してあげます。
- 最後に照明器具とスイッチを接続して回路図の出来上がりです。
- 複数の照明器具が有る場合などもっと複雑な複線図の場合には接続点が増えていきます。
複線図の書き方
段階的に複線図の書き方と理論を解説します。
技能試験の際に複線図を描かない場合も基本的な内容は理解が必要ですので理解できるようにしておいてください。
複線図を描かない方法については別記事でまとめていますので参考にしてください。
例題:基本図形 スイッチと照明器具
例題として簡易的な回路を作成します。
問題:単線図
スイッチや電灯を単線図と同じ位置に描く
スイッチや照明器具の配置は単線図に基づいたものを描きます。
位置を変えると必要な線の数も変わる可能性があるので大まかで構いませんが位置は揃えましょう。
次に電源の書き込みます電源は●(黒丸)と○(白丸)で表現します。○が接地側(W:ホワイト)。●が非接地側の電源です。
●と○ はVVFケーブルの二心線の色と合っているので基本的には○(白丸)と●(黒丸)を使います。
基本的に試験では電線の接続はジョイントボックス内で接続する指示が有りますので、ジョイントボックスを破線の大きな丸で表現します。
破線の輪の中で電線同士を接続する接続点を作つくります。
非接地側の電源からスイッチまで先に線を描きます。この時、必ずジョイントボックスを経由し、ジョイントボックス内で一度接続点(小さい黒丸)をつけます。
この時ジョイントボックス内で接続をするため接続点を設けて書き込みます。
最後にスイッチと照明器具を接続します。
複線図が完成することで実際に接続する線の繋がりがわかりました。
ジョイントボックス内に3本の接続箇所が2つ、2本の電線の接続箇所が1箇所あることがわかりました。
この電線の本数は試験の際に重要になります。
間違った書き方の複線図(配線)
電源の黒(非接地側)に引っ掛けシーリングなどの照明器具を取り付けてはいけません。
技能試験でこの接続をおこなった場合は不合格です。
スイッチを接地側に付けた場合、スイッチを切っていても照明器具側まで電気が来てしまいますので感電するリスクが増大します。電気事故を防ぐ為の処置として必要だと覚えておきましょう。
なぜ2つの図式が必要なのか
同じ内容なのにどうして単線図・複線図の2つの記述方法が有るのか不思議に思いませんか?
実は2つの図面にはそれぞれメリット・デメリットがあり、場面によって使い分けられているのです。
単線図のメリット・デメリット
- シンプルな線なので接続関係がわかりやすい
- 線が少ないので図面が見やすい
- 誰が見てもわかりやすい
- 実際の電線の数や配線の様子がわかりにくい
複線図のメリット・デメリット
- 実際の機器接続の時の電線の数が分かる
- 電線の数が実際の接続と同じなので図面が複雑になり、見やすい図面にしようとすると紙が大きくなる
- 複線図を描いた人でないと読み解くのは難しいので共有するには向いてない。
つまり、それぞれに使いどころが異なる図面なので書き方が2つ存在します。
複線図の書き方を理解したら練習を繰り返しましょう。何度も描くことで身につきますし、技能試験本番の時間短縮になります。
第二種電気工事士試験で複線図が必要な理由
第二種電気工事士筆記試験、技能試験の両方で試験問題として出題されます。問題は単線図で出され、複線図に展開して答えを導き出さなければいけません。
また、技能試験は実際に回路を制作する試験なので単線図から複線図へ変換できなければ作業ができません。
筆記試験で出題される複線図問題
筆記試験の問題用紙の一番最後には図面が記載されています。
記載されている単線図を読み解く図形問題が必ず出ます。
図形の記号の種類を問われる問題、複線図にした場合の電線の本数や必要なリングスリーブの数・刻印の組み合わせを問われる問題があります。
問題例
⑪で示す部分の接続工事をリングスリーブで圧着接続をする場合のリングスリーブの種類、個数及び刻印の組み合わせで、正しいものは。
引用:平成30年 第二種電気工事士試験 下期筆記試験問題 問41
単線図から複線図に展開した上で接続点につながる電線の太さ・本数からリングスリーブの大きさ・刻印を導き出さなければならないので複線図を書かないと回答できません。
逆に「複線図を単線図に書き直せ」的な問題は出ないので複線図への展開だけマスターすれば大丈夫です。
技能(実技)試験ではほぼ必須
技能試験は配布された材料を使って指定された単線図の通りに実際に工具で回路を作る試験です。
問題は単線図で出題されますので、単線図を理解した上で複線図に展開しないと結線を間違う場合があります。
筆記試験でマスターしておけば問題ないと思いますが、筆記試験でマスターできていなければ技能試験の難易度が上がってしまいます。
事前に技能試験の候補問題全13問は公開されているので事前に複線図の練習はできます。
何度も描いているうちに暗記することもできるかもしれません。
また、複線図を書かない手法でつくる技能試験の方法を電気工事士奪取プロジェクトで公開されています。
動画は複線図を書く書かないどちらにしても配線の作り方としてとても参考になりますので技能試験の練習のときには見ておいてください。
実際の施工時にも考え方は必要
メリット・デメリットでも書きましたが、複線図を書くことは実際に配線を行う場合に電線の経路や必要な電線の数、結線の方法などを決める為に必要です。
また、取り付けるスイッチの種類(片切か3路スイッチなのか)によっても必要な電線の数は変わります。
また接続する器具(コンセントや電灯)にどのようにして結線するかも複線図化できないと難しいのできちんと理解しておきましょう。
わざわざ図面を起こすことは実際の施工現場ではないかもしれません、経験を積まれている電気工事士の方は複線図を書かれないかもしれませんが、理解しているからこそ図面が必要ないのです。
学ばなくても良いというわけではありません。
複線図の書き方まとめ
基本の複線図の書き方は
書き方のルールを守り順番に対応すれば複雑な単線図も複線図に直すことはできます。試験で必ず出題される分野なので、しっかり学習してください。
ちなみに例題に取り上げた図面の配線を複線図と比較するために作ってみました。
3本の電線が接続してる箇所が2箇所、2本の接続箇所が1箇所あり、複線図が実際の配線につながっていることがわかると思います。
あとは練習あるのみです。
練習方法としては理論を理解したうえで何度も書いて見ることが一番の練習方法です。
ノートの隅でも良いですし、A4の紙を折り曲げて書いてもいいですね。
複線図を練習するための参考書もあります。
どうしても単色では複線図がわかりにくい時は電線を色分けする方法もあります。色分けした複線図の書き方はを知りたい方は以下の記事を確認してください。
複線図以外にも私が電気工事士を受験したときの情報などの情報をまとめています。
実際の試験のときに起きたトラブルや事前準備情報などたくさん書いていますので参考にしてください。
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