複線図は第二種電気工事士試験の筆記試験でも技能試験でも出される製図法です。
筆記試験では図面からスイッチや照明器具に繋がる配線を読み取るため、技能試験では配布された問題から回路を作るために複線図の理論を使います。
筆記試験では持ち込める筆記用具が制限されているのでできませんが、技能試験では複数色のペンを使った複線図のを描いてチェックに使うことができます。
- 技能試験の対策で複線図をもっと分かりやすくしたい。
- 色分けした複線図の書き方を試してみたい。
複線図は理解しておかないとミスに直結しますので、手を抜かず練習をしましょう。
基本の複線図の書き方は別記事で解説していますので、基礎から勉強したい方は確認してみてください。
複線図を色分けして描くメリット
複線図はわざわざ色分けしなくても描けます。
実際に私が試験を受けたときには、鉛筆だけで出題部分の複線図を描いて問題を解きました。
ただ、単色だとやはり線の色がわからないので、繋ぐ線同士の確認に時間がかかります。
色分けしてあった方が見てすぐわかるので、ミスが少なくなり時間が短縮できます。
技能試験は試験時間が短いので、ミスが少なくなるメリットは大きいのです。
色分け複線図に使う道具
複線図を描く場合には複数色のボールペンをつかいます。
好みで各色一本づつのボールペン3本を使っても良いのですが、持ち運びや持ち替えの時間短縮を考えれば3色(黒、青、赤)ボールペンを使うほうが効率的です。
私はjetstreamとフリクションを持っていますが、複線図にはフリクションがオススメです。
フリクションは描き直しができるボールペンので、間違いや修正の時に便利です。
他のボールペンだと書き直しができないので間違ってしまうと別のことろに新しく描くしかありません。書き直しのできるフリクションなら時間のロスが少ないのでフリクションが便利です。
定規などは使わない
きれいに書くことが目的では有りません。
配線の間違いや接続の確認のために描くので、正常に接続できることがわかればよいです。
定規できれいに描いても採点されませんし、時間のロスになるだけなのできれいに書くことはやめましょう。
色分けした複線図の書き方
複数色を使う場合は線の色を以下の色に割り当てます。先に決めておくことで迷いが少なくなります。
電線の色 | ボールペンの色 |
---|---|
黒 | 黒 |
白 | 青 |
黒・白以外の色の心線 | 赤 |
複線図を3色ボールペンを使って描く複線図の書き方は基本的に1色で描く場合と変わりません。
公表問題1番の図形を使って複数の色を使った複線図の書き方を説明をします。
試験問題を使って解説
公表問題(No1)はスイッチと照明器具を二箇所のジョイントボックスで接続する比較的かんたんな問題です。
技能試験の練習も最初にNo1から取り掛かることも多いと思いますので、実際に作る前の複線図の練習として描いてみてください。
試験問題は電気技術者支援センターで配布されていますので手元に印刷しながら確認するか、HOZANの電気工事士受験セットに付属するハンドブックを確認しながら読むと良いです。
第二種電気工事士技能試験の問題と解答 (電気技術者試験センター)
【1】紙の上に器具やスイッチを描く
問題に指定されている単線図と同じ位置に電源・器具やスイッチなどの記号を描きます。
この場合は黒線で問題ありません。
位置関係がわかれば十分なので、大雑把でも良いです。
破線でジョイントボックスを描くという解説もい多いですが、試験時間が長い筆記試験の場合には描いても良いですが、実技試験の場合には分かれば良いので省略しても良いでしょう。
(私は省略しました。)
なお、作った回路で位置関係が施工条件と異なる場合には欠陥です。注意してください。
【2】器具と電源を青線でつなぐ
電灯器具・スイッチに接地側(○)からの線を青い線で描いていきます。
この時、接続点は明確にわかるように小さい丸で描いておきます。
接続点を明確にするとリングスリーブ・差し込みコネクタの位置と種類が
把握できます。
【3】電源とスイッチを黒線でつなぐ
次に黒のペンで電源側(●)からの線を器具・スイッチに接続します。
この時点で器具からも黒線を出しておくと接続する時に描きやすくなります。
候補問題にはコンセントが有りませんでしたので、黒線がスイッチだけに接続されています。
問題の中にコンセントが有る場合にはこの時点でコンセントに白(青線)と黒線の両方が接続されています。
【4】器具とスイッチを線でつなぐ
黒・白の電線を黒と青の色のペンで描いた後にスイッチと器具を接続します。
なお、公表問題1番のスイッチから器具までの線の色は何色で描いても問題有りません。
何色の線で接続しても技能試験では欠陥として判定されませんので、自分がわかりやすいように色分けしましょう。
以上で複数色を使った複線図の書き方の説明は完了です。
技能試験で描いた複線図
実際に私が受けた技能試験の時にはフリクションを使って色分けした複線図を書きました。
左のブレーカから青・黒線が中央のジョイントボックス(時間短縮のため記載省略)に向けて描いてあります。
下のスイッチ(イ)と同時点滅のパイロットランプから右のランプレセプタクル・上のシーリングに向けては赤の線で描いています。
支給部品には1.6mm3心のVVFケーブルが配布されましたので、接続の確認と作り終わった後の確認用の複線図が作れました。
ちなみに線以外に書き込んでいるのは間違い防止用のメモです。
- 「202C」 2.0mm2心(2心を2色として色「Color」の数を書いた)
- 「163C」 1.6mm3心(3Cは3色の意味)
- 「10+15+4」 ケーブルを切断するときの長さのメモ。ジョイントボックス内の接続10cm、器具間の距離15cm、ランプレセプタクルに接続するための長さを確認。
字が汚いですが、本番の緊張感と制限時間の短い中で自分の間違いやすい作業を記入してミスを防ぐようにしました。
線の太さはリングスリープのサイズと刻印を確認する為書きました。
複線図内の「小」を四角で囲んでるのは、刻印が丸の場合と区別するための工夫です。
リングスリーブ小に○刻印をする場合は「小」をまるで囲むようにしていました。 あとは施工条件に合わせて差し込みコネクタ部分の内容をメモしました。
複線図を描かないパターン
複線図を書くことをおすすめしていますが、複線図を暗記したり複線図自体を描かずに実技試験の回路を作る方法がオンデマンド石井さんのEWC理論です。
最終的には複線図を描かない方法を身に着けて技能試験に挑んだほうが、作業時間の短縮になります。
ただ、EWC理論を身につけること合格することはイコールではなく、あくまで作業する技術です。
得意不得意はあると思いますので、合格するという目的のために「複線図を書く」「複線図を描かない」の選択をしてください。
複線図を描かないで合格できるかどうかは以下の記事で案内していますので確認してください。
まとめ
複線図を色分けすることでわかり易さは格段に上がります。
ただ、複線図の習得は技能試験合格のためのステップの1つです。
色分けしたとしても接続条件や、リングスリーブのサイズ間違い・刻印間違いがあっては技能試験の合格はできません。暗記するほど複線図を理解したら描かないという選択もありです。
専用のテキストも販売されていますので、購入して練習する方法もあります。
複線図が描けるようになったら、技能試験に向け工具を準備して実際の材料をつかって回路を作る訓練に入りましょう。
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